社員証の再発行は、1枚あたりのカード代で見るとわずかな金額です。そのため予算の議題に上がらず、担当者の手元だけで処理され続けます。しかし実際に費用として出ているのは材料費ではなく、データを直して印刷して渡すまでの作業時間と、届くまでの数日間をしのぐための一時対応です。この記事では、自社の再発行コストを自分の数字で計算する手順をまとめます。そのうえで、EZ Signで置き換えられる部分と置き換えられない部分を分けて説明します。
この記事の内容
社員証の「作り直し」が発生する場面を数える
まず、自社で年間に何枚作り直しているかを数えます。発行枚数の合計ではありません。数えるのは「一度発行したあとで、もう一度作り直した枚数」です。新規入社の1枚目はどの方法を選んでも必要になるため、比較の対象になりません。差が出るのは次の場面です。
- 異動・昇格で所属や役職が変わった 氏名も顔写真も変わらず、印字された文字列だけが変わります。それでもカードは1枚作り直しになります。件数がいちばん多いのはここです。
- 改姓した 本人にとっては急ぎたい変更です。旧姓のまま運用を続けるか、仮のカードでしのぐかの判断が発生します。
- 紛失・破損した 再発行までの間、本人は入館や来客対応のたびに説明を求められます。カードそのものだけでなく、この待ち時間に費用が出ます。
- 派遣・常駐業者・短期スタッフが入れ替わった 在籍期間が短いほど、1枚あたりの費用は割高になります。回収できたカードを次の人に回せるかどうかで、金額が大きく変わります。
- 組織名そのものが変わった 部署の統廃合や社名変更では、対象者全員分の作り直しが同時に発生します。頻度は低くても、1回あたりの負担は最大です。
1から5を合計した年間枚数が、このあとの計算の出発点になります。正確な記録がない場合は、直近3か月の実績を4倍して概算してください。月ごとのばらつきより、桁が合っているかどうかが重要です。
再発行1枚の費用は、カード代だけではない
再発行の費用は、次の5つに分かれます。このうち会計上の金額として見えているのは、最初の1つだけです。
| 費目 | 中身 | 見落とされやすい点 |
|---|---|---|
| 材料費 | カード、ラベル用紙、ラミネートフィルム、インクリボンなど | 金額として見えるのはここだけです |
| 発行作業 | データの修正、印刷、内容の確認、本人への受け渡し | 担当者の時間が費用として集計されません |
| 待ち時間の一時対応 | 仮カードの用意、手書きでの代用、受付や警備への連絡 | 外注の場合、ここが最も長くなります |
| 回収・廃棄 | 旧カードの回収、廃棄、発行番号の管理 | 回収できないまま残る枚数が毎年積み上がります |
| 直さないまま運用する | 役職や所属が古いカードを、当面そのまま使う | 費用はゼロですが、来客対応で説明が必要になります |
金額より、担当者の時間を先に測ってください
仮に年間40枚を作り直している職場で考えます。材料費を1枚100円下げても、削減額は年4,000円です。一方で1枚あたりの作業時間を25分から5分に短縮すれば、年間で約13時間が戻ります。再発行の見直しで効くのは、材料費ではなく作業時間です。(この40枚・100円・25分はすべて仮の数字です。自社の実績値は次章の手順で出してください。)
発行方法別に、いまの対処法を確認する
社員証の作り方は大きく4通りです。それぞれに、費用と手間を抑える定石があります。まずは現行の方法で打てる手を確認してください。
外注(PVCカード)
印字品質と耐久性が安定し、顔写真もきれいに出ます。まとめて発注するほど1枚あたりは下がります。弱点は、1枚だけの再発行が割高になることと、手元に届くまで日数がかかることです。
対処法は、再発行の締め日を決めてまとめることです。「毎月末に締めて翌月頭に発注」と決めると、単価と発注回数の両方が下がります。締め日までの間は仮カードで運用し、仮カードの様式を先に決めておいてください。都度発注をやめるだけで、発行作業の回数が月1回に集約されます。
内製(カードプリンタ)
当日中に発行でき、外注の待ち時間がなくなります。弱点は、カードとインクリボンの在庫管理、プリンタの保守、そして操作できる人が限られることです。
対処法は、発行できる担当者を2人以上にすることです。1人しか操作できない状態では、その人の不在日に再発行が止まります。あわせて、リボンの残量と在庫の確認日をカレンダーに固定してください。切らしたときの影響が、外注より大きくなります。
紙+ラミネート
最も安く、当日その場で作れます。弱点は、ラミネート後の修正ができないことです。役職が1文字変わっただけでも作り直しになります。
対処法は、変わる情報と変わらない情報を物理的に分けることです。氏名と顔写真をラミネート本体に置き、所属と役職は差し込みの帯にします。帯だけ刷り直せば、本体を使い回せます。台紙のテンプレートを1つ作っておくと、毎回のレイアウト作業がなくなります。
クリアケース+差し替え用紙
修正が即日かつ低コストで、変更の多い現場に向きます。弱点は、見た目が簡素になることと、紙がケースの中でずれることです。
対処法は、印刷位置を固定したテンプレートを作ることです。ケースの窓の内寸に合わせて余白を決め、そのファイルだけを使い回します。ずれの原因は紙のサイズではなく、毎回レイアウトを作り直していることにあります。
4つに共通する構造
どの方法でも、内容が変わるたびに「印刷された物理的な1枚」を新しく用意する必要があります。費用と待ち時間は、ここから発生しています。上記の対処法は、この1枚を作る回数をまとめたり、作る範囲を小さくしたりする工夫です。
自社の再発行コストを計算する
ここまでの内容を、1つの式にまとめます。次の5項目に自社の数字を入れてください。
| 記号 | 項目 | 単位 | 調べ方 |
|---|---|---|---|
| A | 年間の作り直し枚数 | 枚 | 第1章の1〜5の合計。新規入社分は含めません |
| B | 1枚あたりの材料費 | 円 | 請求書または資材の単価から |
| C | 1枚あたりの作業時間 | 分 | データ修正から受け渡しまでを実際に計測 |
| D | 担当者の時間単価 | 円/時 | 人件費の社内基準値を使用 |
| E | 1枚あたりの一時対応コスト | 円 | 仮カード代と、待ち日数中の対応時間の合計 |
計算式
1枚あたりのコスト = B +(C ÷ 60 × D)+ E
年間コスト = A × 1枚あたりのコスト
計算例(この5つの数字はすべて仮置きです)
以下の数字に根拠はありません。式の動き方を確認するための仮の値です。必ず自社の実績値に置き換えてください。
A=40枚/B=150円/C=25分/D=3,000円/E=200円
1枚あたり = 150 +(25 ÷ 60 × 3,000 = 1,250)+ 200 = 1,600円
年間 = 40 × 1,600 = 64,000円
この仮の例では、1,600円のうち材料費は150円で、全体の約1割です。残りの約9割は人の時間です。
計算した結果、年間コストが小さければ、いまの方法を変える理由はありません。この記事の続きは、Aが大きい職場か、Cが長い職場に向けた内容です。
EZ Signが置き換えるのは「作り直し」の部分
EZ Signは、電子ペーパーの表示をスマートフォンから書き換えられる表示機です。表示内容はアプリで作り、NFCで本体に転送します。書き込みは1枚ずつ、本体にスマートフォンをかざして行います。電源の配線は不要で、電池も入っていません。
第2章の5つの費目に当てはめると、影響するのは次のとおりです。
| 費目 | EZ Signに置き換えた場合 |
|---|---|
| 材料費 | 所属・役職・氏名の変更では、新しい印刷物を用意する必要がなくなります |
| 発行作業 | アプリで内容を直し、本体にかざして書き換えます。印刷と裁断の工程がなくなります |
| 待ち時間の一時対応 | 本体が手元にあるため、仮カードでしのぐ期間がなくなります |
| 回収・廃棄 | 本体を回収して書き換えれば、次の人に引き継げます |
| 直さないまま運用する | その場で直せるため、古い表記のまま運用する理由がなくなります |
一方で、紛失・破損した場合は本体の買い直しになります。ここは紙やカードより不利です。第1章で数えた枚数のうち、紛失・破損が何枚を占めるかを分けておいてください。この比率が高い職場では、置き換えの効果が小さくなります。
本体の価格
| モデル/サイズ | 1個入り(アクセサリーあり) | 6個セット(本体のみ) | 12個入り(アクセサリーあり) |
|---|---|---|---|
| 4色 2.13インチ | ¥1,880 | ¥9,300 | ¥19,730 |
| 4色 2.9インチ | ¥1,980 | ¥9,900 | ¥20,930 |
| 4色 4.2インチ | ¥2,980 | ¥14,700 | ¥30,530 |
| 2色 2.9インチ | ¥1,980 | ¥9,900 | 設定なし |
| 2色 4.2インチ | ¥2,980 | ¥14,700 | 設定なし |
※ 税込・2026年9月16日時点の商品ページの価格です。変更される場合があります。2.13インチは4色モデルのみの設定です。
6個セットは本体のみです
6個セットは1台あたりの単価が下がりますが、スタンドもクリップも入っていません。社員証として胸元に留めるならクリップ12個セット(¥580)を、首から下げるならランヤード6個セット(¥1,660)を別途ご用意ください。ランヤードは1個入り・12個入りを含め、どの買い方にも同梱されません。台数と買い方の組み合わせはEZ Signは何台から6個セットが得かで詳しく比較しています。
何年で釣り合うかの見方
本体は1人1台です。1人あたりの本体価格を、第4章で出した「1人あたりの年間再発行コスト」で割ると、何年ぶんの再発行費用と釣り合うかが出ます。
前提を置いた試算(数字は仮置きです)
前提:2.13インチ4色を6個セットで揃えた場合、1台あたり¥1,550。第4章の仮の例で1枚あたり1,600円。1人につき年1回の作り直しが発生する職場を想定。
この前提では、1人あたりの本体代¥1,550に対して年間の再発行コストが1,600円となり、1年ほどで釣り合う計算になります。ただしこれは仮の数字による試算です。作り直しが2年に1回であれば釣り合うまで約2年、クリップやランヤードを加えればその分だけ長くなります。自社のA・C・Dを入れて計算し直してください。
実際に届く質問は4つに集中します
名札・社員証の用途でお問い合わせをいただくとき、内容はほぼ次の4つです。書き換えにかかる時間、4色表示で顔写真がどう見えるか、費用、そして最初のデザインを誰が作るか。単品の細かい仕様についての質問は、ほとんど届きません。この4つには実測値と実機写真で電子ペーパー名札の4つの疑問にまとめています。顔写真を入れる前提であれば、サイズ選定の判断材料もそちらにあります。
本体はIP65(防塵・防滴)に全機種が合格しています。粉じんや水滴のある現場で運用する場合の判断材料としてください。
当日に担当が変わる運用での使い方は、展示会スタッフの名札の作り方にまとめています。社員証とは場面が違いますが、「前日・当日に表示を変える」という点は共通します。
EZ Signが向かないケース
次に当てはまる場合、EZ Signは適していません。
- 入退室や勤怠のICカードと1枚で兼ねたい。EZ Signは表示を書き換えるための製品で、既存のICカードの機能を置き換えるものではありません。入退室カードは別に持つ運用になります。
- 紛失・破損が多い。紛失時は本体の買い直しになります。第1章で数えた枚数のうち紛失・破損の割合が高い職場では、紙やラミネートのほうが負担は小さくなります。
- 作り直しが年に数枚しか発生しない。第4章の計算で年間コストが小さいなら、いまの方法を続けてください。工数をかけて切り替える理由が立ちません。
- 顔写真を大きく載せたい。サイズの選定が前提になります。小さいサイズでは顔写真の面積が限られるため、写真を主体にする設計には向きません。
- 500台を超える規模で、独自仕様が必要。大量導入や独自の書き込み仕様が必要な場合は、標準品ではなく個別のご相談になります。
検討前の確認
- 年間の「作り直し」枚数を数えたか(新規入社分を除いたか)
- そのうち紛失・破損が何枚かを分けたか
- 1枚あたりの作業時間(C)を実際に計測したか
- 再発行までの待ち日数に何をしているかを書き出したか
- 入退室カードと兼用する必要があるかを確認したか
- サイズを決めたか(顔写真を入れるなら大きいサイズを検討)
- 6個セットを選ぶ場合、クリップまたはランヤードを別途カートに入れたか
- まず1台で表示の見え方を確認したか
最後の項目は、台数が決まっていても先に済ませてください。電子ペーパーの見え方は、写真では伝わりきりません。1台からご購入いただけますので、まとめてご注文になる前に実物でご確認ください。
作り直しがいちばん多い部署から、1台で試してください
4色モデル2.13インチは1個入り¥1,880(アクセサリーあり)、6個セットは¥9,300(本体のみ)で1台あたり¥1,550です。価格は税込・2026年9月16日時点のもので、変更される場合があります。
4色モデルを見る 2色モデルを見るあわせてご用意ください:ランヤード6個セット ¥1,660(本体には同梱されません)/クリップ12個セット ¥580
名札・社員証としての導入は名札・社員証ページをご覧ください。100台まではオンラインでそのままご購入いただけます。100台を超える場合は法人向けのお問い合わせからご連絡ください。