値札は、頒布物の隣に置く小さな紙ですが、当日いちばん多く「これいくらですか」を減らしてくれる道具です。この記事では、値札に書く内容、読みやすい作り方、卓上での置き方、そして当日に内容が変わったときの対処までをまとめます。初めて出展する方でも、そのまま準備できる順番にしています。
値札に必ず入れる4つの情報
迷ったら、この4つだけで成立します。情報を増やすほど文字が小さくなり、かえって読まれなくなります。
- 頒布物の名前 タイトルが長い場合は略称でも構いません。表紙が見えていれば「新刊」だけでも通じます。
- 価格 値札の中でいちばん大きく書く要素です。ここだけは離れた位置からでも読める大きさにします。
- 税込かどうか 同人誌即売会では税込表示が一般的です。「500円(税込)」と書いておくと、会計時のやり取りが減ります。
- 新刊 / 既刊の区別 既刊を買いに来た方と新刊を探しに来た方では、見るところが違います。ひと目で分かれていると立ち止まってもらいやすくなります。
あると親切な情報
卓の広さと相談しながら、必要なものだけ足してください。すべてを1枚に詰め込むより、別の札に分けたほうが読まれます。
| 支払い方法 | 現金のみか、キャッシュレスに対応しているか。対応している場合は、使える決済の種類も書いておくと会計が速くなります。 |
|---|---|
| セット価格 | 「3冊セット1,200円」のようなまとめ価格。単品価格と並べて置くと比較してもらえます。 |
| 残り部数 | 「残りわずか」「あと◯部」。ただし当日に数が動くため、書き換えられる形にしておく必要があります。 |
| 年齢制限 | 成人向け頒布物がある場合は、値札とは別に、卓上ではっきり分かる形で掲示してください。イベントによって掲示方法の指定があります。 |
| 通販の予定 | 「通販あり」「会場限定」。買うかどうかの判断が変わる情報なので、書いておくと親切です。 |
| サンプル・見本誌 | 「立ち読みできます」の一言があると、手に取ってもらいやすくなります。 |
読みやすい値札の作り方
文字の大きさは「立って見下ろす」前提で決める
卓上の値札は、来場者が立った状態で見下ろして読みます。机に置いて座って見ると十分に見えても、実際の距離ではかなり小さく感じられます。
作ったら必ず、卓と同じ高さに置いて、一歩下がって立った状態で確認してください。これが最も確実です。とくに混雑した会場では、来場者は横向きに歩きながら一瞬だけ見るため、座って読める大きさでは足りないことがあります。
優先順位のつけ方
価格をいちばん大きく、頒布物名をその次に、それ以外は小さくします。3段階に分けるだけで、読む順番が自然に決まります。文字の大きさがそろっていると、どこから読めばいいか分からなくなります。
色は3色までに抑える
色数を増やすと情報が整理されず、かえって目立たなくなります。地の色・文字の色・強調の色の3色で組むと、遠くからでも構造が分かります。
強調に使う色は1つに絞ってください。「新刊」も「限定」も「残りわずか」もすべて赤にすると、どれも強調されていないのと同じになります。
余白を削らない
小さい紙に情報を詰めたくなりますが、文字のまわりに余白がないと輪郭が読み取りにくくなります。文字を小さくして余白を確保するより、情報を減らして文字を大きくするほうが結果的に読まれます。
作る道具
- Canva・PowerPoint・Word:名刺サイズやカードサイズのテンプレートから作れます。同じ体裁で複数枚をまとめて作りたい場合に向いています。
- 手書き:太めのマーカーで、輪郭のはっきりした字を書けば十分読めます。当日の急な追加にも対応できます。
- ラミネート・カードケース:紙のままだと反りやすく、飲み物をこぼしたときに書き直しになります。100円ショップのハードカードケースでも十分です。
卓上での置き方
寝かせず、立てるか傾ける
机に平らに置いた値札は、立っている人からは鋭角に見えるため、文字がつぶれて読みにくくなります。カードスタンド、L字のアクリルスタンド、イーゼルなどで手前に傾けるだけで見え方が変わります。
頒布物の手前に置く
値札を本の奥に置くと、本に隠れます。本の手前、来場者に近い側に置くのが基本です。積んだ本の上に載せる方法もありますが、本を取るたびにずれるため、頒布中は手前が扱いやすくなります。
複数の頒布物があるときは、位置関係をそろえる
頒布物が3点以上ある卓では、「どの値札がどの本のものか」が分からなくなりがちです。すべての値札を同じ側(たとえば各頒布物の右手前)に統一すると、対応関係が自然に伝わります。
デザインもそろえてください。1枚ずつ体裁が違うと、卓全体が散らかって見えます。
飛ばない工夫
屋外開催や空調の風下では、軽い紙は飛びます。マスキングテープで卓布に留める、重さのあるスタンドを使う、といった対策をしておくと安心です。
お品書きと個別値札の使い分け
両方を用意すると迷いにくくなります。役割が違うためです。
| お品書き | 個別の値札 | |
|---|---|---|
| 役割 | 卓全体に何があるかを伝える | 目の前の1点がいくらかを伝える |
| 置く位置 | 卓の中央、または立てて掲示 | 各頒布物の手前 |
| 読まれる場面 | 足を止めるかどうかを決めるとき | 手に取ってから |
| 向いている形 | A5〜A4程度の一覧 | 名刺〜カードサイズ |
お品書きだけだと、来場者は一覧と現物を見比べる必要があります。個別値札だけだと、卓全体で何を頒布しているかが伝わりません。お品書きで足を止めてもらい、個別値札で判断してもらうという分担で考えると組みやすくなります。
当日変わる情報をどうするか
ここが紙の値札でいちばん困る部分です。次のような場面は、多くのサークルで起こります。
- 完売した:値札はそのまま残るため、完売した本を何度も聞かれます
- 終了間際にまとめ売りをする:セット価格を出したいのに、卓上に表示できません
- 席を外す:紙に手書きするか、何も出さずに離れることになります
- 入稿後に頒布物が増えた:お品書きを刷り直す時間がありません
紙で対処する場合
完売札・残りわずか札・不在札を、あらかじめ別に作って持っていく方法があります。値札の上に重ねられるサイズにしておくと、その場で差し替えられます。当日に手書きするより速く、見た目も揃います。
書き換えられる表示を使うという選択肢
紙を持ち替えるのではなく、表示そのものを書き換える方法もあります。電子ペーパーの値札は、スマートフォンをかざすと表示を変更でき、書き換えた内容は電源なしでそのまま残ります。会場に電源がなくても使えます。
「新刊 500円」から「完売 ありがとうございました」へ、その場で切り替えられるため、完売・値下げ・不在といった当日に動く表示に向いています。一方で、内容が変わらない値札であれば、紙のほうが手軽で安価です。当日に変わる表示だけを電子ペーパーにして、残りは紙のまま使うという組み合わせもできます。
前日チェックリスト
値札まわりの持ち物と確認事項
- 頒布物すべてに値札があるか
- 価格が税込表示になっているか
- 卓と同じ高さに置いて、立った状態で読めるか確認したか
- 値札を立てるスタンドはあるか
- 完売札・残りわずか札を用意したか
- 支払い方法の表示を出したか
- 成人向け頒布物がある場合、掲示方法はイベントの規定に合っているか
- 予備の紙とマーカー(当日の追加・修正用)
- マスキングテープ(風対策・固定用)
完売や値下げを、その場で書き換える
スマートフォンをかざすだけで表示を変えられる電子ペーパーの値札です。電源も電池も不要で、1台1,880円から。同人イベントでの使い方と、実際に使われている卓の写真をまとめています。
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